イスキグアラスト/タランパヤ自然公園群とはアルゼンチン北西部にあるイスキグアラスト州立公園とタランパヤ国立公園から構成される。この地域には三畳紀の陸上の堆積物が広く露出し、最初期の恐竜を含めた当時の爬虫類の化石が多産する。2000年にユネスコの世界遺産に登録された。
イスキグアラスト州立公園はチリ国境近くのサン・フアン州の北東部に位置し、北部境界はタランパヤ国立公園に接する。本公園の面積は603.7 km?、海抜は約1,300mである。本公園はPampean丘陵の西縁部にあたり、本公園の10?20%の面積が砂漠性の植生に覆われる。気候はたいへん乾燥しており、降雨は夏に限られ、気温の日較差が大きい(-10°C?45°C)。つねに強い南風(20-40km/h)が午後?夕方にかけて吹き荒れる。 本公園内にはイスキグアラスト累層と呼ばれる三畳紀後期の地層(カーニアン期:約2億3000万年前)が分布する。この地層からは世界最古の恐竜や当時の陸上爬虫類の化石が産出する。イスキグアラスト累層は三畳紀後期の層序を良好に保存しているため、当時の陸上の動物相を復元できる世界的に貴重な地層である。また、三畳紀に爬虫類が恐竜や哺乳類へと進化していった過程を研究する重要な研究対象にもなっている。 イスキグアラスト累層の周りに発達する乾燥したBadlandは、荒涼とした風景のためにValle de la Luna(月の谷)と呼ばれる。カーニアン期には、この地域は雨季に強い雨が降る河川の氾濫源だった。Protojuniperoxylon ischigualastianusなどの高さ40mにも達する巨大な珪化木は当時の豊かな植生を示している。他にもシダ類やトクサ類の化石も産出する。 この公園内ではリンコサウルス類やキノドン類が多産する。それに対し、恐竜は陸上脊椎動物化石のうち、6%を占めるに過ぎない。しかし、恐竜の2つの分類群―竜盤目と鳥盤目―がすでに分化している。恐竜の中では肉食のヘルレラサウルスが最も多産する。他にも最も原始的な特徴を備えた恐竜の一つ、エオラプトルが産出した。
イスキグアラスト州立公園の歴史
イスキグアラストでの最初の古生物学的記載は1930年になされた。1941年にはこの地域の地質調査がなされ、70種類の植物化石が報告されている。Valle de la Lunaの名前は1943年にアルゼンチン自動車クラブによって名づけられた。最初のキノドン類は1946年にラ・プラタ大学のCabrera博士によって報告された。その後、ハーヴァード大学のローマー博士が1958年に化石密集層を発見し、しだいに科学的な研究や地質調査がなされるようになった。 彼の日記にはこうある。
「朝に起きてテントを後にして、我々を取り巻いていた、今までに想像したことのないくらい素晴らしい化石の密集層を発見した。これはすべての古脊椎動物研究者にとって至上の喜びである。」
1970年にイスキグアラストでの研究はサン・フアン大学に委ねられるようになり、その年のおわりには州立公園に指定された。2000年にはタランパヤ国立公園と併せて世界自然遺産に登録された。
タランパヤ国立公園の概要
タランパヤ国立公園はラ・リオハ州の中西部に位置する国立公園である。公園の総面積は2,150km?であり、東西をSierra de Sañagasta山脈とCerro Los Colorados山脈に挟まれた、標高約1500mの盆地が広がる。砂漠気候に属するために気温の日較差が激しく、雨季である夏には降水量が多くなる。本公園内では古生物学的・考古学的に重要な発見が数多くなされ、それら記念物の保護のために本公園が設定された(1975年に州立公園として設定、1997年に国立公園に昇格)。優れた景観を有し、山岳地帯に典型的な植物相・動物相を有する。
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タランパヤ渓谷では一箇所で幅80m、高さ143mにわたってイスキグアラスト累層の連続した層序が見られる。
また、Puerta del Cañónの岩石刻画のような先住民の遺跡がある
渓谷のごく限られた地域ではこの地域特有の植物が見られる。
グアナコやウサギ、ラマ、キツネ、コンドルなど、この地域の動物が多く見られる。
本公園はイスキグアラスト州立公園と併せて、2000年にユネスコの世界遺産に登録された。
本物件から産出した主な化石
爬虫類
キノドン類
リンコサウルス
サウロスクス
フィトサウルス
ラゴスクス・タランパイェンシス
恐竜
エオラプトル・ルネンシス
ヘルレラサウルス・イスキグアラステンシス
リオハサウルス
ピサノサウルス